コスミックのハンダ付け装置“PSU500”では毎秒約100℃上昇する能力がある大容量のセラミックヒーターを直接コテ先として用いております。ハンダ付け時に先端温度は低下しますが次のハンダ付けポイントでは元の温度に素早く復帰し、いつも同じ条件でハンダ付けすることが可能です。
一般的にハンダ付けはコテ先の温度が約230℃~400℃で行なわれております。この温度設定はハンダのヌレ性を考慮した上で部品及びワークへ熱的ダメージを与えない事が前提となっています。
上記の事を踏まえワークへのダメージを与えず高温なコテ先(セラミック)でハンダ付けを行なった際に、ハンダ付け部の温度プロファイルが次の様なグラフになることが確認出来ています。

コテ先が金属系の場合、コテ先でハンダは溶ける(濡れる)ことでコテ先がハンダと同化しハンダの温度はコテ先とほぼ同じ温度に達します。
セラミックのコテ先温度は約500℃~600℃と高温の設定で使用しています。急激な温度上昇は見られますがハンダはさほど高温にはなりません。

コテ先(チップ先)がセラミック製のため金属系コテ先と違いハンダとコテ先が濡れることがなく接触熱伝達となります。(接触の場合に熱伝導が悪くなる現象があります。)このためコテ先温度が高温であってもハンダ付け時においてハンダがコテ先温度に達する事はありませんが、保温効果が十分あると同時に外界との温度隔離によりハンダの酸化を防止しながらハンダ付けをする事が出来ます。但し、長時間(数十分)経つと保温効果により温度は上昇します。

ハンダ付けは、ハンダ付け開始からハンダ付け終了までの時間とハンダおよび部品へ伝える総熱量で決まると考えております。このことはコスミックのハンダ付け装置“PSU500”のコテ先が高温であっても瞬時にハンダ付けすることでワークへの熱影響を最小限におさえてハンダ付けをする事が可能です。また金属系ハンダゴテに比べ高速、高精度なハンダ付けが出来ることになります。

従来の金属系コテ先は、ハンダ付け後ハンダ及びフラックス(カーボン)等の導電性物質をコテ先から取り除かないと、基板上に残渣を残すことが有り諸問題を発生させる可能性が有ります。この問題に対してセラミックのチップ先の特性を生かし高温にする事でコテ先にハンダ及びフラックスの残渣が残りにくく、上記のような問題が少なくて済みます。

大熱容量のセラミックヒーターを直接コテ先として使用しているため、ヒーターに金属のコテ先をつけた従来のコテ先と比べ先端への熱の伝わりが良く、ハンダ付け時に奪われた熱の回復も早いため、例えば基板のグランドパターンやシールドケースなど熱引きの大きな部品でも比較的短時間でハンダ付け可能です。

熱の回復が早いヒーターでは、短時間での熱のコントロールが可能です。LEDなど熱に弱い部品やFPCなどに対しても、熱を伝える時間を管理することで部品などへ影響なくハンダ付けが可能です。